【胡蝶蘭育て方/冬】難しくない!胡蝶蘭の冬の育て方

胡蝶蘭はフィリピンなどの熱帯地方生まれの植物です。

高温多湿な環境が得意なので、日本のような寒くて乾燥が厳しい冬の環境は胡蝶蘭にとっては厳しい環境になります。

それでも、ポイントをしっかりと抑えて胡蝶蘭にとって居心地の良い環境を整えることが出来れば、越冬は決して難しい事ではありません。

プロのような事をしなくても特別な設備を用意しなくても大丈夫なので、一緒に冬を乗り越えてまたお花を楽しみましょう。

[胡蝶蘭の育て方/冬]どうして冬は胡蝶蘭にとって危険なの?

冬は胡蝶蘭にとって危険な季節です。これまですくすくと元気に育ってきたのに、うまく冬を乗り越えられないこともあります。
胡蝶蘭にとって冬が危険な理由は冬の気候が関係をしています。冬は気温も湿度も低下をする季節です。これが胡蝶蘭にとって危険なのです。
しかし、冬でも元気に育つ植物はたくさんあります。それなのに、どうして胡蝶蘭は冬の管理に注意が必要なのでしょう。それは、胡蝶蘭がもともと分布している地域が関係しています。
冬を元気に乗り越えるためには、胡蝶蘭の冬の管理にコツがあります。まずは胡蝶蘭の特徴を知り、胡蝶蘭をどのように管理すればよいのかをみていきましょう。
ちょっとしたことに気をつければ冬を元気に乗り越えられます。

胡蝶蘭が分布する地域は高温多湿・フィリピンから台湾に分布する

胡蝶蘭が分布する地域は、フィリピン、台湾、インドネシアなどの東南アジア、高温多湿な地域です。
日本は四季がはっきりした国ですが、フィリンピンなどは一年を通して暖かく、平均気温が19℃を下回ることはありません。
そして日差しに恵まれています。日差しが降り注ぐことで地上の空気が温められ上昇気流が生まれ、低気圧が発生します。低気圧は雨をもたらし、熱帯雨林が形成されます。
胡蝶蘭は本来着生植物で、樹木の幹や樹皮に根を張って生育しています。樹木から栄養を吸収しているのではなく、空気中にさらされている根や葉から霧や雨などの水分を吸収します。
植物は原産地と同じような環境でよく育ちます。日本の冬は平均気温が19℃を下回り、空気が乾燥をします。胡蝶蘭が分布する地域とは、あまりにも環境が違うのです。

冬は胡蝶蘭にとって危険な理由・湿度の低下

胡蝶蘭にとって日本の冬が危険な理由の一つが湿度の低下です。日本の冬は北からの乾いた風が吹いて空気が乾燥をしています。湿度が20%台ということは珍しくありません。空気の乾燥により、肌の乾燥を感じる方もいるのではないでしょうか。
1月や2月は太平洋側では降雨量が少ないことも乾燥する理由です。降雨量が少ないと空気はカラカラになってきます。
また、室内でも空気は乾燥をしています。冬場は暖房を使用する機会が増えますが、暖房を使用することで室内の湿度が低下をします。特にエアコンやセラミックファンヒーターなど乾いた空気を出す暖房機器は空気の乾燥を招きます。
このように、日本の冬は屋外も屋内も空気が乾燥をしていて、胡蝶蘭が生育しにくい環境となっています。

胡蝶蘭はもともと熱帯から亜熱帯の樹木林に自生していた

胡蝶蘭が自生をしているのは、フィリピンや台湾などの地域です。雨が多い地域で熱帯雨林を形成しています。熱帯雨林では霧が発生することもあります。
自生地では着生のランがみられます。着生の胡蝶蘭は樹木の幹や樹皮に着生をしています。樹木から栄養分を吸収しているのではなく、空気中にさらされた根や葉から空気中の水分を吸収しています。霧が発生をして湿度が高い環境だからこそ、空気中から水分を吸収できるのです。葉の吸水能力は高く、肉厚の葉には水分や養分が蓄えられています。
熱帯雨林では常に葉が湿った状態を保ちやすくなります。これにより、葉が乾燥して枯れてしまうことが防がれています。
胡蝶蘭が自生している地域と日本の環境はあまりにも違うのです。

湿度が低いと葉が乾燥し吸水能力が低下するため枯れてしまうことがある

胡蝶蘭にも他の植物と同じように根がありますが、この根の吸水能力は高くありません。多くの植物は根から土中の水分を多く吸収しているのですが、胡蝶蘭の場合は土から水分を吸収するのではありません。着生の胡蝶蘭の根は空気中にさらされている状態です。常に土の中に埋まっていると湿りすぎてしまったり、酸素不足になってしまいます。
胡蝶蘭は空気中にさらさらた根や葉から水分を吸収します。特に葉から水分を吸収しているので、葉が乾いてしまうと枯れてしまう恐れがあります。
湿度が低い冬は葉が乾燥しやすいので管理に注意が必要です。葉が乾燥しないように、冬場はときどき霧吹きで葉に水をかけてやります。こうすることで胡蝶蘭が快適に過ごせます。

冬は胡蝶蘭にとって危険な理由・温度の低下

これまで述べてきたように、胡蝶蘭がもともと生育している地域は熱帯地域です。熱帯地域では一年を通して暖かい気候が保たれています。ところが、日本には四季があるため胡蝶蘭にとっては危険です。冬には気温が下がってしまことが、胡蝶蘭にとって危険な理由のです。北海道では気温がマイナスを示すことは珍しくありません。沖縄以外では胡蝶蘭にとって厳しい環境といえるでしょう。
上手く温度管理をしないと胡蝶蘭が冬に枯れてしまうことがあります。これまで大切に育ててきた胡蝶蘭が、冬の温度によってダメになってしまう心配があるのです。
こうならないためには、温度管理にポイントがあります。温度に気をつけて管理をしていれば、元気に冬を乗り越えてくれることでしょう。

胡蝶蘭は気温が15度を下回ると成長を止めて冬眠状態に入る

胡蝶蘭は18℃以上の温度を好む植物です。胡蝶蘭が自生している地域では、一年を通して平均気温が19℃を下回ることはありません。
ところが、日本の冬は平均気温が18℃以下です。関東地方では最低気温が0℃を示すこともあります。胡蝶蘭が快適に過ごせる環境とはいえません。
冬場は胡蝶蘭を15℃以上の環境で管理します。日中は窓辺の日当たりがよいところで、カーテン越しに日差しを当てます。夜中の窓辺は冷え込むので、夜中には冷えない場所に移動をします。
胡蝶蘭は15℃を下回ってしまうと根からの水分吸収を行わなくなります。そのため、気温が低いときに水をやりすぎると根腐れをする心配があります。温度管理とともに水の与え方にも注意が必要です。

胡蝶蘭は気温が10度を下回ると成長を完全に止めて枯れてしまう

10℃を下回ると完全に成長をとめてしまいます。10℃以下で管理をするのは胡蝶蘭にとって危険です。葉の色が変色をして落葉が起こり、下部が衰弱をして枯れてしまいます。
日中は日当たりのよい室内なら比較的暖かく、胡蝶蘭も安心して過ごすことができます。しかし、日当たりの悪い室内や夜間は冷え込みが激しいです。とくに、冷気が入り込んでくる窓辺は室内の中心部との温度差があり、胡蝶蘭が生育しにくい環境となっています。
日中、窓辺で管理をしていた場合、夜中は場所を移動するように注意が必要です。室内の中心部でも暖房を使用していない冷え込むので、ダンボールをかぶせるなどして胡蝶蘭が冷気に当たらないように管理をします。

温度管理


先に触れた通り胡蝶蘭が好む環境は高温多湿なので、冬場でも最低でも15度以上をキープするようにすることが大切になります。

日中はカーテン越しの日差しにあたる場所においてあげましょう。

この時、高温を好むからと直射日光は危険です。

日光は物質にあたると約60度まで温度を上昇させます。お布団がふかふかになるのはそのためです。

お布団には良いのですが胡蝶蘭は冬場は育成を止めて、休眠期間に入りますので非常にデリケートな状態になりますので、刺激が強すぎます。

冬場でも40%は遮光できる環境に置きましょう。

夜は寒くなりますので室内で育てるのは勿論なのですが、それでも家族が就寝するときに暖房などを切ってしまうと容易に15度を下回ってしまいます。

初冬は以下の方法で温めてあげましょう

段ボールを上からすっぽり被せる

株を包み込むようにタオルなどで覆う

※この際に花を覆うと落ちてしまう場合もありますので、花や芽は避けて覆います。

厳冬の時期はそれでも温度が下がる場合がありますので以下の方法を試してみて下さい。

・ペット用ヒートマット

※A4サイズ位の薄いシートタイプのヒーターが販売されています。夜だけでもいいのでこちらに鉢ごと乗せてあげると適度な温かさを維持できます。

・ホッカイロ

初冬に段ボールをかぶせている場合やタオルで覆っていた場合は、長時間タイプの大判のホッカイロを数個入れてあげましょう。

湿度

日本の梅雨の時期は湿度が70~80%ありますが、胡蝶蘭にはこの時期がとても過ごしやすい気候になります。

ですが、室内でこれを実現すると人間にとっては非常に不快な環境になります。

詳しくは水やりでも触れますが、湿度が20%を下回るとインフルエンザなどのウィルスも活発になりますので、加湿器はセットしておくとよいでしょう。

水やり

胡蝶蘭が自生している時、地面ではなく木にはえます。

根が太いのは外に露出をして高温多湿の環境の中で水分を調節するための進化です。

乾燥は嫌う胡蝶蘭ですが、先に触れた通り冬は休眠期間ですので弱っている状態になります。

根からもぐんぐん水を吸うわけではありませんので、受け皿に水が溜まりっぱなしであったり、ミズゴケが濡れている状態では根腐れを起こしてしまいます。

水やりのポイントはミズゴケが乾燥をしているのを確認してから、2,3日後くらいがいいです。

乾ききっていないところに追加していくような水やりが一番危険です。

もう一つの確認方法は根に1cmほど指をさし、乾燥しているようであれば水やりをするという方法です。

いずれも同じくらいのタイミングになりますので、しっかりと乾いたらまた水をあげるというリズムを守ってあげてください。

また、乾燥が気になる季節でもありますので、根からの水を待っていると葉が枯れる場合があります。

霧吹きなどで葉には直接水分をあげるくらいがよいでしょう。

肥料

最後に肥料になりますが、先程も触れた通り冬は活動が休止している状態です。

そこまでに出ていた花芽の成長も止まっているかのように見えますが、無事に冬を越せばまた活動が始まるので心配せずに辛抱強く見守ることが必要です。

冬は休眠していて弱っているので肥料をあげようと思いがちですが、これは逆効果です。

休眠ということは花芽を成長させるための動きも止まっていますので、そこに肥料をあげても花芽に届ける活動をしません。

結果的に肥料が過剰になり、こちらもやはり根腐れなどの原因になりかねませんので絶対に肥料をあげないようにしましょう。

その他

デリケートな期間ではありますが、実際は何もしてあげていないような厳しい環境で育てることになるので不安になるかと思います。

何かしてあげたいと植え替えをして、環境を整えたりする方もいらっしゃるようですが厳禁です。

胡蝶蘭に限らず植え替えはストレスがかかります。

水分や土壌のpH、水分量などが全く異なりますので、慣れるのに植物はエネルギーを要します。

休眠期間の弱っている胡蝶蘭に植え替えは命取りになりますので絶対に行わないで下さい。

今回ご紹介した方法はご自宅でも取り入れやすい方法だと思います。上手に冬を越せればまた花芽が成長し始めます。

これが休眠期間終了の見極めポイントになります。

春になればまた春のお世話の仕方がありますが、ひとまず温かくなる春までは上記の方法でお世話をして、賢くこの冬を乗り越えてください。